私の師匠は沖田総司です【上】

「ここ」

「はい、ありがとうございます」

土間から降りて勝手場をざっと見ました。

綺麗な勝手場ですね。ここで料理をしている人は相当几帳面な方のようです。

「あの、普段ここは誰が使ってるんですか?」

「ヅラ」

まさかのヅラさんでしたか。

「ヅラさんって料理できたんですね」

「まあな。けど料理が美味いかと言われたら微妙だ。でも、俺や稔麿が作るよりはマシだからな。もう一人いるけど、そいつは料理を作るって感じじゃねえ」

「そうでしたか」

私は勝手場にあった前掛けを着け、紐でたすき掛けをしました。

そして勝手場にあった食材を見て献立を考えました。

「何か使っちゃいけない食材はありますか?」

「無いと思う」

だったら遠慮なく使わせてもらいましょう。

包丁を持って野菜を切り始めます。

料理を作っている最中、龍馬さんは土間の縁に座りながら私の後姿をジッと見ていました。

視線が気になりますが気にせず料理を作ります。

そしてある程度作り終わると龍馬さんを呼びました。

「味見してください」

「ん」

味噌汁を少量掬い取った小皿を渡すと、龍馬さんは躊躇わずにそれを飲みました。

そして「おっ」と言った後、無言になってしまいました。