私の師匠は沖田総司です【上】

朝になっていつも通り斎藤さんと稽古をしましたが、全く集中できなくて、斎藤さんに何かあったのかと心配されてしまいました。

その後女中の仕事をしていても、龍馬さんのことを考えて、手がとまってしまいます。

空を見えれば太陽が高い位置にありました。

そろそろ川原に行かないといけません。

でも、本当のことを言うと、行きたくないです。

いつも楽しみにしていたけど今日は辛いだけ。

私は洗濯物を全て干し終えると、師匠の刀と龍馬さんの懐中時計を持って外に出ました。

川原へ向かう足取りは重い。

いつもなら、今日は龍馬さんと何を話そうか考えている内に、川原まであっという間でした。

でも、今日は足取りが重く、川原までが遠くに感じます。

川原へと着くと、龍馬さんはいつもの場所で横になって、空を眺めていました。

龍馬さんを見た瞬間、胸の痛みが強くなる。

胸の痛みを堪えながら龍馬さんの所へと行くと、龍馬さんが上体を起こして私の方を見ました。

「蒼蝶、来てくれたのか」

私は黙ったまま頷きました。

「とりあえず座れよ」

私はいつもより龍馬さんから離れた位置に座ろうとしましたが、龍馬さんが私の手を掴み「そこじゃない」と言いました。