私の師匠は沖田総司です【上】

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土方さん、今頃くしゃみでもしてるかな。

そう思ったら面白くて、ニシシッと笑ってしまう。

「何が可笑しいんや。笑っとる暇があったら早よ蒼蝶ちゃんに謝りに行きなや」

「そうだけど……。それはもう少し時間が経ってから……」

今、天宮さんの所に行っても無視されそうだ。

無視されたら少なからず傷つく。

だから、もう少ししてから謝りに行こうと思っていた。

「アホやな。時間が経てば経つほど謝りにくくなるもんや。ほれ、とりあえずこの部屋から出て行きや」

ドンと尻を蹴られて医務室から追い出される。

何だか厄介払いされた気分。

しぶしぶ立ち上がって廊下を歩くんだけど、廊下を歩くだけで、すれ違う隊士たちの注目の的になる。

あちこちから「沖田組長の顔、女にやられたのか」って言葉が聞こえてくれるんだけど。

このままじゃ噂が独り歩きして面倒なことになりそう。

初期段階で隊士たちにお灸を据えた方がいいかもね。

僕はピタリと立ち止まり、小声で話す隊士たちに向かって、殺気を滲ませながら睨みつけた。

途端に隊士たちは口を閉ざし、全員の背筋がピンと伸びた。

全員、素晴らしい立ち姿勢だ。