私の師匠は沖田総司です【上】

ムスッとしながら痛む頬を撫でていると、山崎君が「それにしても」と言った。

「なんで蒼蝶ちゃんが総ちゃんをビンタしたんや?あの子が理由もなしに、総ちゃんをビンタするとは思えへん。

なにか理由があるんやろ?」

「それは……」

「それは?」

「銃を持った相手に突っ込んだから。それで命をもっと大事にしろって……」

「なるほど、総ちゃんが悪いな」

即答か。

「……でも、こんなになるぐらい叩かなくてもよくない?」

「はぁ……。ほんまアホやな。それだけ蒼蝶ちゃんがあんさんを心配したっちゅうことやろ。

蒼蝶ちゃんは何故か、この鬼畜で鬼畜のひねくれ者の鈍感男、沖田総司を好きやからな。

ほんまこの男のどこに慕う要素があるんやろ。蓼食う虫も好き好きとは正にこれのことやな」

本人の前で言いたい放題だね。

やっぱり僕は

「山崎君、大っ嫌い」

「安心せえ。ワイも総ちゃん大嫌いやから」

うん、やっぱり大嫌い。

絶対今夜、山崎君の部屋に忍び込んで、その顔に落書きしてやる。

いつもは土方さんに向ける悪戯の矛先を、山崎君に向けてやるんだ。

今日は命拾いしたね土方さん。


***


その頃土方歳三

「へっくしっ!……風邪か?」