私の師匠は沖田総司です【上】

組長の顔がチラつく度に、お饅頭を食べる速度が速くなります。

半ば自棄(ヤケ)食いです。

「おーおー、今日の蒼蝶は一段と荒れてるな」

そんな私を見ている龍馬さんは面白そうに笑っています。笑われたらますますムッとなってしまいますよ。

笑う龍馬さんを横目にガツガツとお饅頭を食べ進めます。

食べ終える頃にはお腹が一杯になって、さっきまであった悲しみや怒りが静まった気がしました。

「龍馬さん、美味しかったです。ごちそうさまでした」

「お粗末様」

ゴロンと川原の土手に寝転がると、視界いっぱいに秋空が広がりました。

薄い雲が空のレースカーテンに見えてとても綺麗です。

草の上をゴロゴロとしていると、龍馬さんの吹き出す声が聞こえました。

「すげえ、無防備な格好だな」

「いつもはキッチリしてますよ。でも、たまには気を抜かないと疲れますから」

新選組の屯所だと、気を抜ける暇なんてありませんからね。

次から次に仕事がやってきますから、休む暇なんてありません。屯所から離れている間だけでも、気を緩めないと。

「そりゃそうだけど、いくらなんでも緩めすぎじゃないか?」

「そんなことありません。5割ぐらいキッチリしてます」

「俺が見たところキッチリ感は1割未満だな」

龍馬さんが私の頬を指で突っつき始めます。

気が抜けきった私はされるがままです。