「悪かったな」
「いえ……」
男性に謝られても、私の身体はまだ震えていた。さっきの恐怖がまだ体から抜けていなかった。
頭の中で刀を向けられた時の光景が、何度も何度もフラッシュバックしていた。
あれが命の危機が迫った時の感覚なのだと思った。
今まで感じたことのない強烈な感覚に、心と身体がついてこれない。
全身の震えが止まらない……。でも、ここの隊士になるには早くこの恐怖に勝たないと。
こんな見っともない姿を見られたら入隊なんてさせてもらえなくなる。
そんなのは絶対いやだ。
私は師匠の未来を変えるんだ。
「立てるか」
「大丈夫です」
震える足に力を込めて立ち上がろうとしたけど再び地面に座り込んでしまう。
しばらく言うことを聞かない身体に悪戦苦闘していると、私の前に大きな手が差し出される。
「掴まれ。いつまでもそこにいると邪魔になる」
「……はい」
男性の言う通りなので、素直に手を掴んだ。冷たい手が不思議な安心感を与えてくれる。
少しずつだけど身体の震えが止まってきた。
「ご迷惑をおかけしました」
「気にするな。それよりも中に入るぞ」
男性の後を追って屯所の中へ入る。廊下を歩いている途中、男性が不意に足を止め私の方を見た。
「いえ……」
男性に謝られても、私の身体はまだ震えていた。さっきの恐怖がまだ体から抜けていなかった。
頭の中で刀を向けられた時の光景が、何度も何度もフラッシュバックしていた。
あれが命の危機が迫った時の感覚なのだと思った。
今まで感じたことのない強烈な感覚に、心と身体がついてこれない。
全身の震えが止まらない……。でも、ここの隊士になるには早くこの恐怖に勝たないと。
こんな見っともない姿を見られたら入隊なんてさせてもらえなくなる。
そんなのは絶対いやだ。
私は師匠の未来を変えるんだ。
「立てるか」
「大丈夫です」
震える足に力を込めて立ち上がろうとしたけど再び地面に座り込んでしまう。
しばらく言うことを聞かない身体に悪戦苦闘していると、私の前に大きな手が差し出される。
「掴まれ。いつまでもそこにいると邪魔になる」
「……はい」
男性の言う通りなので、素直に手を掴んだ。冷たい手が不思議な安心感を与えてくれる。
少しずつだけど身体の震えが止まってきた。
「ご迷惑をおかけしました」
「気にするな。それよりも中に入るぞ」
男性の後を追って屯所の中へ入る。廊下を歩いている途中、男性が不意に足を止め私の方を見た。


