私の師匠は沖田総司です【上】

龍馬さんの背中を見送った後、屯所に戻りました。

屯所の玄関の所に挙動不審な動きをする平助君の姿があって、私の姿を発見した途端、猪かと思うぐらいの勢いで突進してきました。

平助君が怪我はなかったかと聞いて来ますが、貴方のタックルで少々腰が痛くなりました。

しばらく平助君に引っ付かれていると、斎藤さんがやってきました。

稽古をしていたのか片手に木刀を持っています。

「ずいぶん遅かったな」

「すみません」

「いや、とりあえず無事でよかった。……天宮、泣いたのか?」

「え?」

「頬に泣いた跡がある」

斎藤さんの冷たい手が私の頬に触れました。私も自分の頬に触れてみます。

そしたら、頬に少しべたつくような、ザラッとするような、いつもとは違う肌の感触がしました。

さっき川原で泣いたからですかね。

「誰かに泣かされたんですかい!どこのどいつでさァ、俺が今から仇を取ってきますぜ!」

「平助、俺も行こう」

殺気だったお二人が、町へ繰り出そうとしています。

平助君は素手、斎藤さんは木刀ですが、今の二人なら刀を持った相手でもあの世に滅しかねませんね。

それぐらい殺気立っています。

これはマズイと思った私は、すぐに二人の前まで走って、両手を広げて通せんぼをしました。