私の師匠は沖田総司です【上】

結局、私は押し切られてしまい、龍馬さんに背負われていました。

「あの……、重くないですか?」

「おまえ一人の重さぐらいなんともねえよ」

「そうですか?」

「そうだよ」

龍馬さんの言葉から、嘘を吐いているようには聞こえませんが、やはりそれでも申し訳なくて、恥ずかしくてたまりませんでした。

裏道を通っているのがせめてもの救いですね。

表通りを通られたらもう恥ずかしくて死ぬところでした。

それに、裏道なら巡察中の新選組に出会わなくて済みます。

こんなところを新選組の人達に見られたら、私はどうなるんでしょう。

土方さんの拳骨かお説教で済めばいいですけど、そんなものじゃ済まないと思います。

……考えただけで背筋がゾッとしました。

私は今、とんでもない命の綱渡りをしているじゃないですか。

「蒼蝶……、苦しんだけど……」

「あっ!ごめんなさい!」

恐怖のあまり、龍馬さんの首に回していた腕に、力を入れてしまった!

親切に送って頂いているのに、何たる無礼を!

龍馬さん、ごめんなさい!

私が全身全霊で謝罪をしたおかげか、龍馬さんは怒りませんでした。

でも、変わりにポツリと言いました。

「おまえって、意外と力あるのな」

「ええ、まぁ。毎日鍛えてますから」

ここ最近、サボリ気味ですがね。

「……身体を鍛えてんのは剣術の為?」

「剣術の為と言うか、自分の為です。毎日身体を鍛えることによって、本来貧弱な身体を普通の状態にしているようなものですから」

毎日ラジオ体操や、柔軟体操、剣術の稽古をしているからこそ、私はこうして元気に生きることができます。