私の師匠は沖田総司です【上】

そして、庭に植えた桜の枝がしっかりと地面に根を張った頃。

私は小学校に入学しました。

友達ができるか不安でしたが、同じ教室になった子は優しい人ばかりで、すぐに仲良くなりました。

そして放課後、新品の赤いランドセルに教科書を入れていると、友達になった子が話し掛けてきました。

「蒼蝶ちゃん、放課後公園で遊ばない?」

友達からの遊びの誘いに、私は思わず「うん」と頷きそうになりましたが、すぐに言葉を飲み込みました。

私はチラッと友達の隣を見ました。そこには師匠がいます。

師匠は私が心配だったらしく、学校まで一緒に来ていたのです。

私の視線に気付いた師匠はニッと笑って

『行ってきなよ』

と、言いました。

でも、私の中には迷いがありました。

病院を退院してから、師匠は私に天然理心流の稽古をつけてくれていたのです。

稽古は朝と夕方。

友達と遊んだら稽古ができなくなってしまう。そう思うと、なかなか「うん」と言えませんでした。

『いいから行っておいで。蒼蝶は友達と思いっきり遊ぶのが夢だったでしょ?稽古は遊びから帰った後でもできるから』

私はもう一度師匠を見てから

「うん」

と頷きました。