私の師匠は沖田総司です【上】

診察が終わると、私は重い足取りで、師匠が待つ桜の木へと向かいました。

『蒼蝶、待ってたよ。……どうしたの?』

私が暗い顔をしているのが分かったのか、師匠が私の顔を覗き込みながら、心配そうに言いました。

師匠の顔を見たら、胸の奥がキュッと痛くなる。

私は口を一文字に結ぶと、服をきつく握りしめました。

「師匠、あのね。蒼蝶、明日退院することになったの」

師匠は驚いたように目を瞬かせると、悲しそうに目を伏せました。

『……そうか、退院か。明日から、今までみたいに会えなくなるね』

「蒼蝶、師匠と離れたくない。離れたくないよぉ……。毎日、師匠から剣道を学びたい……。それに、師匠が一人になっちゃうよ」

ポロポロと涙を流していると、師匠の冷たい手が涙を拭いました。

そして、静かに抱きしめられました。

『僕だって蒼蝶と離れたくない。でも、大丈夫だよ。蒼蝶が退院したからって、二度と僕に会えなくなる訳じゃないから。会おうと思えば、いつでも会えるよ』

師匠の言う通り、退院したからと言って、二度と師匠に会えなくなる訳じゃない。

でも、会い難くなるのは確かだ。

私はそれがいやだった。師匠と一緒にいたい。師匠に傍にいて欲しい。

なら、どうしたらいいか。