私の師匠は沖田総司です【上】

「でも……」

「でも、どうした?」

「私、今顔が真っ赤だし、目の下にクマがあるから……」

「ワシは別に気にはせん」

気にしないですか。だったら、いいかな。

ゆっくりと顔を覆っていた手を降ろしました。手を離した瞬間、龍馬さんが顔を覗き込んでくる。

そして少し眉を寄せました。

「寝てないのか?」

「寝るのが、怖いんです」

「怖い?……理由を聞かせてくれるか?」

私はぽつりぽつりと話しました。

人を斬ったこと、そして斬った男が私の大切な人を殺める夢を見るようになったこと。

話す度に胸が苦しくなって、声が震えた。

涙で言葉が途切れ途切れになっても、龍馬さんは最後まで黙って聞いてくれました。

「辛かったな」

龍馬さんの低くて静かな声が聞こえた。

「蒼蝶、この国は武力が制する。戦いになった時、相手を斬らないと自分が死ぬ。人の命が簡単に散る時代なんだ。

……その男には悪いが、俺はおまえが生きてくれて本当によかった。生きてくれてありがとう、蒼蝶」

龍馬さんは私にありがとうと言ってくれた。

でも

「私は人を殺してしまいました……」

私は普通の人間。人の命を奪っていいわけがない。

「私は罪を犯した」

震える手で龍馬さんの腕を掴んだ。無意識に下唇を噛んでしまう。