私の師匠は沖田総司です【上】

土方さんと平助君たちの間に緊張した空気が流れます。

思った以上に大事(オオゴト)になってしまいましたね。

これからどうなるんでしょう。何となく楽しみです。

しばらく土方さんの腕の中でじっとしていると、悲痛な顔をした近藤さんが一歩前に出てきました。

「トシ、今までおまえばかりに仕事をさせてすまなかった。疲れてたんだな。だからこんなことをしてしまったんだろ?」

なにやら近藤さんが語り始めましたね。

「俺が悪かった。だから天宮君を離してやってくれ。彼女は何も悪くないんだ、な?」

それから近藤さんは、切々と土方さんとの思い出を語り始めました。

説得を受けている土方さんは、どうすればいいのか分からないらしく、さっきとは別の意味で狼狽えています。

「おいおい、これどうしたらいいんだよ……」という感じの心の声が聞こえてきそうです。

そして平助君を筆頭に、他の皆さんは私を救い出す隙を伺っていました。

カタッ。

上から何かが外れる音が聞こえました。

そして次の瞬間

「蒼蝶ちゃんを離すんや、副長!!」

「ぐふっ!?」

生きのいい関西弁と共に、土方さんの奇妙な声が部屋に響き渡りました。

土方さんの体がグラッと傾くと、突きつけられていた師匠の刀が私の体に迫ってくる。

刀の当たる、と思って身構えると、背後にいた人影が素早く刀を払い、私の体を支えてくれました。

目にも止まらぬ速さで起きた救出劇。

それをやってのけたのは

「大丈夫か?怪我とかしてへんよな」

監察方兼医者の山崎烝さんでした。