私の師匠は沖田総司です【上】

平助君が無表情のまま、スッと音を立てながら刀を抜きました。

「土方さん、俺が介錯してあげやす。だから今ここで腹を斬りなせェ……」

「なんで俺が切腹しなきゃならねえんだよ!」

「なんで?それは土方さんが一番分かっているはずですぜ?」

平助君が一歩近づくと、土方さんは私を抱えながら一歩下がる。

なぜ、こんな修羅場になってるんですか?

私は人質になっている気分です。

「土方さん、とりあえず蒼蝶をこっちに渡してくだせェ」

「こっ、断る!」

「断る?蒼蝶を盾に使うつもりですかィ?それとも一夜を共にしたから離れたくないと?益々許せないですねェ」

「何でそうなるんだ!?一体何をどう考えたら、そういう答えに行きつくんだおまえは!!」

こんな狼狽えた土方さんを見るのは初めてですね。

もう一歩平助君が近づくと

「くそ、こうなったら……!」

何を思ったのか、土方さんが師匠の刀を抜き私の首元に刀を当てました。

ええ~、土方さんこそ一体何をどう考えたらそういう行動になるんですか。

私、本格的に人質になったじゃないですか。

「刀を下ろせ、平助!さもないと天宮の命はねえぞ!」

なんとも悪役全開のセリフですね。今の状況にピッタリじゃないですか。

ここはやはり

「キャー、助けてー」

が妥当でしょうね。