「落ち着いたか?」

コクリと小さく頷くと、山崎さんはゆっくりと体を離しました。

私の目からは次々と涙が溢れ、頬を伝い、布団の上にハラハラと落ちていく。

そして、涙を流す私の頭に、大きな手が乗せられました。

「気が済むまで泣けばええ。涙と一緒に、悲しみも流れるからな」

山崎さんの優しい声。その優しい声にも涙が溢れてくる。

しばらく山崎さんに頭を撫でられながら泣いていると、廊下を走る音が聞こえました。

すぐさま、バンッと勢いよく襖が開かれます。

「山崎君、さっきの声は何でィ!天宮に何かあったんですかィ!?」

「よりによって、いっちゃんやかましい奴が来よったな」

「天宮、目が覚めたんだな!俺ァ、心配したんでさァ!」

「やかましいわ!静かにせえ、アホ!蒼蝶ちゃんが泣おってるのが分からんのか!」

「おぶっ!?」

山崎さんの鉄拳が藤堂さんの脳天にクリティカルヒットしました。

地面にひれ伏す藤堂さん。

その光景が面白くて、ちょっとだけ笑ってしまいました。