***
総司が天宮を背負い、屯所へ戻る。その途中、俺たちの間に会話はなく、重い沈黙が流れていた。
チラッと天宮を見る。天宮は死人のようにピクリとも動かない。
微かに上下している肩だけが、生きているのだと証明している。
そして屯所が見える頃、門の壁に寄り掛かるようにして立っていた人物がこちらに走って来た。
「斎藤君、総司!」
近寄ってきたのは平助だった。平助は総司に背負われている天宮の存在に気付くと、顔色を一変させた。
「一体何があったんでィ!天宮は無事なんだよな!!」
「落ち着け。体に血が付いているが、無傷だ。今は眠っている」
声を荒げる平助に向かって、静かな声で諭せば、すぐに落ち着きを取り戻してくれた。
「そうか、よかった。俺、山崎君を呼んできやすから、天宮を部屋まで運んでくだせェ」
そう言って、平助は屯所の中へと戻ってしまった。
行動が早いな。
「一君、どうする?」
「とりあえず、天宮を部屋まで運んでから副長の部屋に行くべきだな」
「そうだね」
総司が天宮を見る。その目はどこか戸惑っているように見えた。
「行くぞ」
「うん」
総司が天宮を背負い、屯所へ戻る。その途中、俺たちの間に会話はなく、重い沈黙が流れていた。
チラッと天宮を見る。天宮は死人のようにピクリとも動かない。
微かに上下している肩だけが、生きているのだと証明している。
そして屯所が見える頃、門の壁に寄り掛かるようにして立っていた人物がこちらに走って来た。
「斎藤君、総司!」
近寄ってきたのは平助だった。平助は総司に背負われている天宮の存在に気付くと、顔色を一変させた。
「一体何があったんでィ!天宮は無事なんだよな!!」
「落ち着け。体に血が付いているが、無傷だ。今は眠っている」
声を荒げる平助に向かって、静かな声で諭せば、すぐに落ち着きを取り戻してくれた。
「そうか、よかった。俺、山崎君を呼んできやすから、天宮を部屋まで運んでくだせェ」
そう言って、平助は屯所の中へと戻ってしまった。
行動が早いな。
「一君、どうする?」
「とりあえず、天宮を部屋まで運んでから副長の部屋に行くべきだな」
「そうだね」
総司が天宮を見る。その目はどこか戸惑っているように見えた。
「行くぞ」
「うん」


