私の師匠は沖田総司です【上】

一君は手紙を受け取ると怪訝そうな顔をした。

「これは?」

『新選組の情報が書かれている紙だよ。ああ、でも勘違いしないでね。蒼蝶のじゃないから』

「ならどうして君が持ってるのさ」

『今から説明するよ』

僕は二人にこれまでの経緯を話した。

『敵に捕まった時、蒼蝶は初めて人を斬ったんだ。それが凄く心に負荷を掛けたらしくて、心を閉ざしてしまった。

それで、代わりに僕が表に出てきて他の奴らを斬ったわけ』

「そうだったのか……」

「……」

二人は口を閉ざしてしまった。

何て言えばいいか分からないんだろうな。

『君たちにお願いがあるんだ。蒼蝶が表に出ている間、僕は何もできない。

だから君たちが蒼蝶を立ち直らせて欲しい』

「分かった、任せろ」

「できる限りのことはしてみる」

『お願いね。蒼蝶は僕にとって大切な人なんだ。この子を傷つける奴は、誰であろうと許さない。……それぐらい大切な人だから』

「天宮を傷つける奴はアンタの敵になるのか。恐ろしいな」

一君が少しだけ笑った。