私の師匠は沖田総司です【上】

溜息を吐くと一君が言った。

「もう一度問う。貴様は何者だ」

『僕は……』

僕は、何て言えばいいんだろう。

正直かなり返答に困る質問だ。

一君の隣にいる沖田総司の幽霊ですって言っても、絶対に信じて貰えないよね。

だってこの時代の沖田総司は生きているから。

『僕は蒼蝶の二つ目の人格?みたいなものかな……』

今の僕は蒼蝶の中で生きているから、二つ目の人格といっても良いかもしれない。

というか、それ以外の言葉が見つからない。

「二つ目の人格だと?天宮はそのようなこと言わなかったが?」

『今まで僕は、蒼蝶の中で眠っていたんだ。僕が表に出たのは初めて』

「なら天宮は、アンタの存在を知らないんだな?」

『そうだね』

一君、これ以上僕を狼少年にしないでくれるかな。仲間を騙しているみたいで心が痛いからさ。

「あのさ、今まで眠ってた奴がどうして今になって出てきたの?それと、この人たちを斬った理由も教えてくれるかな?」

次に質問してきたのは昔の僕だ。

僕はさっき高杉から貰った手紙を取り出し、一君に向かって投げた。