しばらくその場に立ち尽くしていたら、遠くから足音が聞こえた。
「天宮さーん!」
「天宮、どこだ!」
ああ、懐かしい声がするな。この声は一君と過去の自分の声だ。
少しだけ待っていると、思っていた通りの二人が現れた。息を切らしているから、ここまで走って来たのかな。
それにしても、過去の自分を見るとか不思議な感じ。
「天宮さん、やっと見つけ……何これ。ここで何があったの?」
さっき僕が斬った人達の骸を見て、思わず足を止める二人。
辺りに血とか飛んでるから驚いて当然だよね。と言うか、驚かない方が変だ。
「全部アンタがやったのか?」
信じられないとばかりの表情をする一君に僕は笑顔で
『そうだよ、一君』
って言った。
「一君……?」
僕の一言に怪訝そうに眉を寄せる一君。
そして、勢いよく抜刀した。
「貴様、何者だ。天宮ではないな」
「えっ、どういうこと?」
過去の僕、鈍(ニブ)過ぎる。昔の自分ってこんなに鈍かったっけ?
もう少し鋭かった様な気がするんだけど。
目の前の自分が情けなさ過ぎて溜息が出る。
「天宮は俺を一君とは呼ばない」
「あ!そういえばそうだ!」
慌てて刀を抜く過去の僕。なんか恥ずかしい。


