私の師匠は沖田総司です【上】

一撃目は腹に。高杉は反射的に刀で攻撃を防ごうとするけど、これは囮だ。

そのまま流れる様に、二撃目を胸に放つ。

「くっ!」

高杉は顔を歪めながら腹にあった刀を胸の位置まで持ってきて、僕の攻撃を防いだ。

でも、攻撃を受けた位置が悪くて刀が嫌な金属音を立てて折れる。

『これで終わりだよ!』

僕は勝利を確信して最後の攻撃を繰り出したけど、高杉は人間離れした反射神経で攻撃を避けた。

ずいぶん戦い慣れてるね。

でも、完全に避けきれなかったらしく、肩が赤黒く染まる。

『これで終わりだね。刀も折れ、片腕の君じゃ僕には勝てないよ』

高杉は止めどなく溢れる血を片手で押さえながら、口元に笑みを浮かべた。

「本当に、末恐ろしいお姫様だ。最後にとんでもねェ技をだしやがって。参った、負けを認めてやる。ほらよ」

足元に手紙が投げられる。

拾って中身を確かめると、新選組の情報が書かれていた。

「約束だからな」

『でも、これが本物か分からないな。もしかしてまだ君が持ってたりして』

「クックック、だったら俺を殺してみるか?」

別に僕はそれで構わないけど、僕、と言うか蒼蝶の体が限界だ。

相手が退いてくれるならそれに越した事は無い。

『今回は君を信じておくよ』

「そうかい。じゃ、俺は夜叉姫様の気が変わらない内に退散しますか。また会おうな」

『出来ればもう二度と君に会いたくないよ』

「クックック……」

喉を鳴らすように笑うと、高杉は背を向けて月が照らす道を歩きはじめた。