私の師匠は沖田総司です【上】

蒼蝶の為にもコイツとはあまり関わらない方が良いかもね。

さっさと情報が書かれた手紙を回収して、屯所に戻ろう。

殺気を消し、鯉口を切っていた刀から手を離した。

『じゃあ、僕は用が済んだら帰るよ』

僕は地面に倒れる男の懐を探った。

確かコイツが手紙を持っていた筈なんだけど。

『あれ?』

無い?

僕はもっと奥まで探ったけど、手紙は見つからなかった。

コイツで間違いないのにどこに行ったんだ?

「お姫様が探しているのはこれか?」

高杉の方を見ると、奴の手には僕が探している物が握られていた。

いつの間に捕ったんだろうね……。

『そう、それ。それを僕にくれる?』

「イヤだ、と言ったらどうする?」

『意地悪しないでくれるかな。僕は無駄に争いたくないんだ』

蒼蝶の為にもね。争って怪我したら大変だ。

この子には怪我をして欲しくない。

「クックック、さっきあれだけ人を殺しておいて、争いたくないとは、つれないお姫様だ。

面白いねェ。益々、このままサヨナラしたくねェな」

高杉がニヤッと口の端を釣り上げた。

その瞬間、新たな殺気が現れる。

「お姫様、いや、普通の姫じゃねェな。

……夜叉姫。

これが欲しかったら力尽くで奪ってみな。せっかく仲間が手に入れた敵の情報だ。簡単に渡す訳にはいかねェからな!」

『さっきまでそこにいて、仲間を見殺しにした奴が笑わせるよ』

どうやらコイツとの戦いは避けられないみたいだね。

僕は再び刀を抜いた。