そのため、時間がある時に原田さんの槍捌きを何度か見学しに行ったことがある。

見学というか、覗きですけどね。

そこで原田さんの槍捌きを全て覚えたと思ったのですが、実戦では役に立たなかった。

やはり遠くで見るのと実践は違いますね。

「おまえ、本当に向上心の塊だな。斎藤がおまえを欲しがる理由がよく分かった」

「斎藤さんが私を?……ああ、剣術の指南をしたいと言っていましたね」

最近の話ですが、斎藤さんがよく私を稽古に誘うようになりました。

ですが、斎藤さんは抜刀術を得意としています。そして、私が師匠から習ったのは主に立会いです。

立会いと抜刀術は違う。

ですが、私の力を向上させるには、斎藤さんから抜刀術を習うのが良いと思います。

女は男よりも力が弱い。だから私にとって立会いは不利なもの。

それよりも、一太刀、または二太刀で敵を倒せる抜刀術の方が女には向いている。

「でも、おまえは斎藤から指南を受けたくなさそうだな」

「……」

原田さんの言葉が的を射過ぎて私は口を閉ざした。

斎藤さんからの剣術の指南は嬉しい。実際、一緒に稽古をしたいと思っていました。

でも、私はずっと師匠から習った剣術だけを、使っていきたいと思っています。

師匠から学んだ純粋な力に、他の力を混ぜたくない……そんな感じ。

今の剣術が無くなったら、何だか師匠が遠くなるようで怖いんです。