私の師匠は沖田総司です【上】

「もう最後か」

坂本さんが最後の一本を手にした瞬間、背後から人影が伸びました。私は咄嗟に傍に置いてあった師匠の刀を手に取ります。

しかし、それは坂本さんの手によって阻まれてしまいました。

「刀を抜く必要はねえよ」

「ですが……」

「こいつらは俺の仲間だ。なぁ、ヅラに稔麿」

ヅラ?稔麿?

坂本さんの口から出た言葉に疑問を覚えながら、背後に顔を向けました。

背後には二人の男性。

一人は綺麗な黒髪を結わえ、流し髪をしているこれまた美形の人。

もう一人は短めの髪をした人で、なぜか怒っています。

すると突然、怒った人が坂本さんの胸倉を掴みました。

いきなりでアワアワしている私に対し、坂本さんは至って涼しそうな顔。

我関せずと言う様な目で、団子を食べています。

「龍馬……。俺をその仇名で呼ぶなと何回、何十回言わせれば気が済むんだ?

まるで俺が禿げてるみたいだからやめろって言ってるだろうがァ!!」

「近くで叫ぶな、騒々しい。桂とか小五郎よりもヅラの方が短くて言いやすいんだよ。分かったか、ヅラ」

「テメェの事情なんて知るか!!今すぐやめろォ!!」

「やなこった」

私は坂本さんとヅラと呼ばれる人の言い争いに、唖然とするばかりでした。