私の師匠は沖田総司です【上】

今この時こそタイムスリップをしたい。一時間ぐらい前でいいから。

でも、師匠がいませんからおそらく無理ですよね。

あ゛ぁ……、私はなんてミスを犯したんだろう。

自分の詰めの甘さに項垂れていると、背後から足音が聞こえてきました。

「ちょっと良いかな?」

背後から聞こえた声に、胸が一際大きく高鳴りました。

だって、私に話し掛けてくれたのは、組長だったから。

「あの……何か?」

組長から嫌味以外で話し掛けられたのは初めてで、私はどんな反応をすればいいか分かりませんでした。

とりあえず、組長としっかり向き合いました。

「僕の部屋にみたらし団子を置いてくれたのは君、だよね?」

「あっ、はい」

「僕の為に作ってくれたの?」

「はい」

すると組長は「やっぱり」と言いました。

書置きもしてなかったのに、組長は私のだと分かってくれたんだ。

驚きと同時に現れた喜びで、思わず口元が緩んでしまいます。

「それでね、あの、そのぉ……」

すると、組長が髪を撫でながら歯切れの悪そうにしました。

どうしたんでしょうか?

やがて、組長がギュッと拳を握りしめました。

「あのさ!」

「はっ、はい!」

突然組長が大声を出したので、体がビクゥッ!となりました。