『ただいま。』


誰もいない家に花は挨拶をした。


家は、2階建てで部屋は
全部で5部屋ある。


と言っても、使っているのは、
2階の奥の1部屋だけだ。


家賃は、花の叔父さん達が
払ってくれている。


叔父さん達は、面倒を見てくれると言ってくれたのだが、花はどうしてもこの家から離れたくなかった。


一人でもいい。
叔父さん達には金銭的に
ものすごく迷惑をかけてしまうが…



…ここにいたい。


『お母さん、お父さん、ただいま。』



花はリビングにある棚の
上の両親の写真に挨拶をした。



『今日はね、お母さんが言ってた男の子に会ったの。…とても楽しかった…。』


写真の前に飾られていた“花”は、
枯れていた。