家に帰る帰り道。

すでに夕日がこちらを向いていた。


『…205 号室かぁ、雨くん。』



結局、花は雨の病名は
聞くことが出来なかった。


『どこが悪いんだろう…。』



花の母は、白血病で亡くなっていた。


抗がん剤治療で、

長かった黒髪が次第に
無くなっていったのを花は覚えている。



『また今度、雨くんに会いに行こう。』



駅から真っ直ぐ道を進み、
二番目の十字路を右に曲がると
花の家がある。

父は、すでに他界しており
花は一人暮らしだった。






花は、家の鍵を開け、
誰もいない家の中に入った。