花は、左腕にしている
腕時計を確認した。


『あ、もう帰らなくちゃ。』


『俺もそろそろ病室に戻る。』



雨がベンチから立ち上がり、
花の方を見て、小声で言った。



『…さっきは、ありがとう…。』



花は、そんな雨を見て、
満面の笑みを浮かべた。


『いいえ!こちらこそありがとう。
今日は、とても楽しかった。ねぇ、雨くん。』



『…ん?』



『雨くんの病室、何号室か教えてくれる?』