「奈緒・・・」
「はい」
俺らはお互いの顔を見合った。
「俺は奈緒のことが好きです。付き合ってください」
「はい」
奈緒の顔は、花が咲いたように明るくなった。
「よかった〜」
俺は空を見上げて目を閉じて、全身の力が抜け、ベンチの背もたれにもたれかかった。
「ありがとう」
奈緒は真っすぐ前を見て言ってくれた。
少しだけ後ろからみる君の姿が愛おい・・・。
彼女に見とれていたら、自分の右手に握られている紙袋を思い出した。
忘れてたし・・・。
「奈緒、これ・・・ホワイトデーの・・・」
振り返った奈緒の顔は美しい。
「これ、あの店の・・・覚えててくれたんやね!嬉しい!」
そう言うと 、奈緒は俺に抱き着いてきた。
「な、奈緒?」
「いきなり、こんなことしたら引いた?」
「嬉しいよ」
引くわけないやん。
俺のことをちゃんと受け入れてくれたんやから・・・。
それより俺の方が引かれるかも・・・。
彼女の細いのに柔らかい身体を抱きしめたら、よからぬことを考えてしまった。