【完結】無口な王子様




奈緒?


来てくれないのか?


お願いだから、話を聞いてくれ。


最後に・・・話を聞いてくれ!


俺らの距離は5mくらい。


でも、今はたった5mでさえ遠く感じる。


そのまま奈緒が反対を向いて校舎の方へ走って行ったら、俺はどうすることもできない。


言わないと・・・言わないと・・・。


奈緒の右足が後ろに下がったのを見て俺は、声を発した。


「ちょっと待って!」


奈緒は足を止め、俺の方を向いた。


でも距離は縮まらない。