【完結】無口な王子様




「じゃあ、今日はここまで」


「起立、礼」


今日一日の授業がようやく終わった。


「圭、お前もう帰る用意したんか?」


「隆、すまん。今日は用事があるから」


俺は顔だけを隆の方を向いて、遠ざかりながら言った。


「圭!がんばれよ〜!」


後ろからの隆の声に押されて俺は学校を後にした。


あいつはきっと気付いているんだ。


俺がどこに向かおうとしているのか、誰に会いに行くのかを・・・。

まだ誰もいない下足場で下靴に履きかえ、ダッシュした。


暖かくなってきた3月の日差しはは今の俺には暑すぎる。


あの古典の教師の気持ちがよくわかる。


こんなに一生懸命走ったのはいつぶりだろうか・・・?


通り過ぎる景色なんて気にしている場合じゃない。


俺は・・・君に会わなくてはいけない。


君に会って、この想いを伝えなくてはいけない。


例え、君の気持ちが変わっていたとしても・・・・・・。


歩いて15分はかかる距離なのに、今日は5くらいで走りきった。


乱れた息を整えて、俺は奈緒の学校の前に立った。


まだ誰も出て来ていないみたいや・・・。


ようやく生徒達が出て来て、奈緒が来ないか、見落とさないように見る。


数分後、奈緒の友達の・・・何て名前だったかな・・・とにかく隆が好きな子が出て来た。