【完結】無口な王子様


期末テストが終わり、俺はある店の前にいた。


「あのお店のクッキー人気なんやって」


目を輝かしながら奈緒は言った。


俺は、その笑顔があまりにもかわいくて直視できず、目を逸らして


「そうなんやぁ」


とその店を見た。


その店は白が基調の清潔そうな店。


看板には、『White Magic』と『W』と『M』を使ったマークが掲げられていた。


今、俺の前には、『White Magic』の看板。


店に入ると甘い匂いが充満していて、俺のテンションも上がってくる。


やばっ・・・。


明らかににやけている口元を手で覆った。


俺一人では食べるには少々多めのクッキーの詰め合わせを買った。


甘いものが好きな君のことを想って・・・。


テストが終わり、去年まではそのままテスト休みに入っていたが、今学期からは受験対策の補充授業がある。


幸い、奈緒の学校でも同じような補充授業があるらしい。