なのに…

「亜紀ちゃん!」

「由利…」

「あれ?」

「あの人ならもう帰ったよ。」

私は溢れる涙をこらえながら言った。

「ふ~ん。」

「追いかけてあげなよ…」

そう言うと由利は笑いだした。

「あんな奴、ほっとけばいいよ!」

「何言ってるの?」

「最初から付き合う気なんてなかったし、本気にされちゃごめんだよ。」

パンッ

「痛っ!何するの!?」

ついに私は由利をたたいてしまった。

「何されてるか分からないの?自分がやってることも分からない奴が分かるわけないか。」

「男なんて身体目当てなだけじゃん!」

こらえきれず涙が溢れだした。

あの人に自分がしたこと、友達がこんな人だったこと。

「あいつ、まじウザいから。嫉妬深いってゆうか。亜紀ちゃんもあんな奴、好きになるなんて変わってるね。」

私には由利の言っている意味が分からなかった。