放課後になった 帰る時刻は野球部が終わって帰る時間帯に 合わせることにした 暗いから顔を見られないって油断するだろうから 佐野とは連絡を取り合えるようにメアドと 携帯番号を交換した 「瑠璃、帰るぞ」 いつもの何気ない一言だったけど 今日はいつにもまして緊張感があった 『……うん』 瑠璃が安心できるようにその小さくて 柔らかい手を握ってやる そうすると瑠璃も握り返してきて とても愛おしく感じた