「 野辺、野辺 」

  
 ん…?
 
 あ…

 私…寝てたんだ。

 「 ん、なに? 」

 私の名前を読んでいたのはあいつだった。

 「 お前寝てんじゃねーよ成績、悪くなるぞ 」

 軽くクスっと笑いながら言われた。

 え?授業中?

 私何してたんだろ。何も覚えていなかった。

 ていうか何で。何でこいつに言われなきゃなんないの。

 苛立ちは無かったが何とも言えない、不思議な気持ちが心の奥底にあった。

 「 う…るさい 」

 私は授業中なのに気づき慌てて筆箱からシャーペンを出そうとした。

 「 何これ? 」

 私の筆箱に小さなメモが2つ折りに置いてあった。

 


  今日放課後あいてる?

  空いてたらさ、カラオケいこーよっ

        明

 「 は…はあ? 」

日野「 なにそれ?誰から? 」

 もう…またこいつ…

 ていうか。この人。本当に女子に冷たいの?

 そうとは思えない…

 「 カンケーないでしょ 」

 適当にそういってみた。

日野「 ふーん 」

  「 う、ん 」

 なんなの本当に~
 ま、いいや。

 朝比奈さんが何で私なんかを遊びに誘ったんだろ?
 別に仲良いって訳じゃないし。

 


 

――― 「 キーンコーンカーンコーン 」

 「 きりーつ 」

 「 きをつけー、礼。」

 「 有難うございました。 」


 
  「 おわ…ちゃった。 」
 
 授業中寝るとか初めてかも。おかげで授業の内容全然わからなかった…
 ていうか殆ど手紙のこと考えてたし..

 「 野辺さーんっ!! 」

 「 あ、は、い 」

明「 手紙、見てくれたー? 」

 「 うん 」

明「 今日ね!みやびとかとカラオケ行くんだけどー、良かったら野辺さんもどうかなー? 」

 「 え…何で私? 」

明「 なんでってー。朝比奈さんと仲良くなりたいに決まってるじゃん?! 」

 「 そっか 」

明「 そんな冷たくしないでさー、遊ぼー? 」

 「 うん 」

明「 やった!じゃまた放課後ねっ 」

 「 あ…はい 」

雅「 そんな堅苦しい喋り方じゃなくて普通に話せばー? 」

   は、はぁ…?

明「 みやび!そんなキツく言わないでさ!仲良くしよー 」

雅「 そうだねーよろしくー 」


 「 よろしく 」

 

 さっきの…結構びっくりした。
絡んでない人に遊びに誘われてびっくりしてたのに立花さんって結構キツいのかな…?



日野「 お前。なんで断らなかったの?嫌なんだろ? 」


   またこいつ!?

 「 え、あ、あのさ、何でそんなに私にそんな話しかけるの? 」

日野「 ん?何でって(笑) ダメ? 」

 「 い、いや..日野って女子の中じゃ冷たいらしいし 」

日野「 んー、お前はー何か、あんだよね 」

 「 は? 」

 思わずは?なんていってしまった私。

日野「 何か。おもしれーんだよ、お前 」

 「 なにそれ 」

日野「 ま、おこんなって 」

 「 起こってないけどさ別に 」

  もう本当に意味がわからなくなって返事もそっけなくなった。
  起こってるわけじゃない…
  授業もままならない…


  なんなのこの人…