顔も知らない貴方へ



恵太くんは弱々しく笑った後、
私の目を真っ直ぐに見つめた。


「でも、ちゃんと会えて良かった。
......俺の話し聞いてもらってもいい?」


私が頷いたのをみると、
恵太くんは話し始めた。


「昨日梓ちゃんの気持ちも考えないで、
突然キスしちゃったことは、本当にごめん。でも、俺は適当な気持ちであんなことした訳じゃないんだ。
....梓ちゃんと初めて会ったとき、笑顔のすごい可愛い子だなって思った。
その時にさ、なんかもっとこの子のこと知りたいって思って、気づいたら梓ちゃんのこと引き止めてた。
それから、梓ちゃんが病室遊びにきてくれるようになって、つまんない毎日が楽しみな毎日に変わったんだ。
梓ちゃんと色々話すようになってからは、明るくて前向きな梓ちゃんにどんどん惹かれていく自分がいて.....。
気づいたら、もう好きになってた。」