顔も知らない貴方へ



足を止めて振り返ると、
そこには、恵太くんが立っていた。


「....恵太くん」


私もそう名前を呼ぶと、
ゆっくりと歩み寄る。


そして、私が目の前まで来ると、
恵太くんは突然頭を下げた。


「昨日は突然あんなことして、
ごめんなさい!」


大きな声はエントランスホール中に
響き渡り、
一瞬の静けさの後、
周りの視線が私たち二人に集中した。