私はまた心が挫けてしまう ことのないように、 いつもよりも早足で病院内を歩き、 すぐに702号室の前までたどり着いた。 ドアの前で私は大きく深呼吸をし、 激しくなっている胸を落ち着かせた後 いつも通りにドアを開けた。 「こんにちはー! ......って、あれ?....いない。」 勇気を出して入った病室に、 恵太くんの姿はなかった。 「....どこかお散歩にでも行ってる のかな?」 私は静かな病室に一歩入ると、 恵太くんのベッドの脇にある 丸椅子に座った。