顔も知らない貴方へ




「で?梓はキスされたの嫌だった?」


由良の質問に、
私はゆっくりと首を横に振る。


「......びっくりはした。......でも、
嫌じゃなかった。」



私の答えを聞き、由良は少し微笑む。



「そっか。........これは気持ちの問題だから、私からは何とも言えないんだけど....
キスされて嫌じゃないってことは、
私ならそういうことかなって思うよ。」

「そういうことって?」

「私の場合は、その人のこと好きなんだなって思うってこと。」