顔も知らない貴方へ



それから私は、
さっきの出来事を由良に話した。


まだ少し頭は混乱していたから、
途中自分で何を言っているのか
分からなくなってしまった所もあった。


けれど由良は時々相づちをうちながら、最後まで私の拙い説明を聞いてくれた。






「ふーん。私がバイトをしてる間に、
そんな事が起きてたのね.....」



由良はそう言うと、
目を閉じて少し考えごとをするように
顎に手を置く。


それから少しの沈黙の後、
口を開いた。