顔も知らない貴方へ



私は何が起きているのか分からず、
動けずにいると、恵太君がゆっくりと離れていく。


そして、私を真っ直ぐ見つめていた
と思うと、突然視線を逸らし、
呟いた。



「.......ごめん」




私は突然のこと過ぎて何も言えずに
固まっていると、ドアが開かれる音
が聞こえた。



「あら?お友達?お見舞いに来るのはいいけど、ちゃんと面会時間は守って下さいね!」



病室に入ってきた看護師の言葉で、
時計に目をやると、
確かに面会時間を10分程過ぎていた。


「本当だ!すいません。
帰りますね。」