顔も知らない貴方へ




少し口を尖らせ、
しゅんとした様子でそう口にした
恵太君はなんとも可愛いく、笑ってしまった。


「そんな心配いらないよ。お母さんが退院しても、私は恵太君に会いに来るから!」



「本当!」


私がそう言うと、勢い良く
恵太君が起き上がり、大声で言う。



「本当だよ。というか、恵太君声
大き過ぎ!」


私の注意を聞かずに、
ずっと喜んでいる恵太君。


そんな彼に向かって私は言った。


「ありがとう。」