顔も知らない貴方へ



「やだ!見ないで!」


私は慌てて顔を手で隠す。


「可愛かったのにー」


恵太君は少し拗ねた声でそう言うと、
ベットに勢い良く横になった。


それから、少しの沈黙の後、
恵太君は口を開いた。


「でも、寂しいなぁー....」


「何が?」


私がそう聞くと、
ゆっくり顔を私の方に向ける。


「..... だって、梓ちゃんのお母さんが退院したら、病院に来なくなるから、
もう会えないでしょ?」