すると、そんな私の頭を撫でながら、
恵太君は優しい笑顔で言った。
「実際自分も入院して分かったんだけど、入院ってしてる本人だけじゃなく、その家族も辛いものでしょ?俺の母さん、
いつも笑顔なんだけどさ、俺の治療が上手くいってなかった時期に、隠れて泣いてたんだよね。でも俺の前ではいつも元気でさ。家のこともあって大変なのに。
母さんいつも頑張ってくれてるんだ。
だから、梓ちゃんもお母さんのために
一杯頑張ってるんだよ。それで、
神様も梓ちゃんとお母さんの頑張りを認めて、病気治してくれたんだよ。
..... よく頑張ったね。」
恵太君の優しい声に、
手の温もりに、
私の視界はまた歪み始める。
そして、
さっきあんなに泣いたのに、
もう涙なんて枯れちゃったんじゃないか
って思うほど泣いたのに、
私の頬に静かに涙が流れた。
