顔も知らない貴方へ



「また調子いい事言ってー」


私は赤くなった頬を隠すように
手を当てながら言った。


この後、いつもなら恵太君の
調子のいい言葉が続くのだが、
今日は黙ったまま私をジッと見ている。



「....どうしたの?」



私は視線に耐えられず
聞いてみる。


「梓ちゃん、今日何かいいことあった?」