顔も知らない貴方へ


「ごめんね、梓。
今までいっぱい心配かけたし、
寂しい思いもさせちゃった。
でもお母さん癌が綺麗に治るように
頑張るから、あとちょっと
待っててね。」


お母さんの言葉に私は
何度も頷いた。


「待ってる!お母さんお家帰ってくるの
私待ってるから!
ちゃんと治して帰ってきてね!」


私は震える声でそう言うと、
お母さんは笑顔で頷いた。