顔も知らない貴方へ



自己紹介が終わると、
お互い顔を見合わせ笑った。


「それじゃあ、また!
林檎いただきます!」


そう言い笑顔で手を振り
病室に戻っていく片山君の姿を
見送ると、再びお母さんの病室
へと向かう。


その間、ずっと片山君の笑顔
を思い出しては、
胸がドキドキする。



そして、同時に知らないアドレス
からのメールと片山君の姿が
頭の中で被る。


「あり得ないんだけどさ....
メールの相手が片山君だったらな....」


そんな事を呟きながら歩いていると、
もうお母さんの病室だ。


「お母さん!来たよー!」


私は深呼吸をして気持ちを
落ち着けてから、
お母さんの待つ病室のドアを開けた。