顔も知らない貴方へ



私たちの興奮が落ち着いた頃には、
すっかり外は真っ暗になっていた。


とっくに見舞い時間も過ぎてしまい、
看護師さんに注意された私たちは、2人でエントランスホールへと向かった。


薄暗くなっている廊下を歩いていると、
突然恵太くんが「ありがとう」
っとお礼を言った。


私が首を傾げていると、
恵太くんは少し恥ずかしそうに笑う。


「ずっと直接会って言いたかったんだ。
メールの相手の人に。
初めて返信が返ってきたときすごい
嬉しかった。
あの頃、病気のせいで迷惑ばっかり掛けてる俺って生きてる意味あんのかなとかすごい悩んでた時期だったんだ。
だから、俺のあんなメールを読んで、
元気が出たって言ってくれて、
俺でも誰かの力になれるのかなと思えて......。
あのメールのやり取りにすごい救われてた。本当にありがとう。」