顔も知らない貴方へ



私は携帯を閉じると、
来た道を戻り、ある場所へと向かった。


歩いて歩いて
坂を登って、
30分ほどで私は目的地に着いた。


そこは小さな丘になっており、
すぐその下に街の灯りが
綺麗に輝いている。

ここは、お母さんが入院することになった日に見つけた私の穴場スポットだ。

私は突然襲われる寂しさを感じると、
一つだけあるベンチに座って
よくこの景色を見に来る。


たくさんの灯りは、
それだけたくさんの人が生活
しているということで、
自分は1人じゃなく、
きっと見ていてくれる人がいる。


その景色は私にそう感じさせ、
元気をくれる私の大好きなものだ。


私はベンチに座り、
暫く眺めた後、
携帯でこの大好きな景色を
写真に収めた。


それからメール画面を開いた。