ナギSIDE


 半泣きのまま外に飛び出した早瀬


 カナタでも呼びに行ってくれたのかな……

 そんなわけないか。


「おかえり、なぎさ。」

「ただいま、帰りました」


 なぎさ

 私の名前じゃない。


 なぎさは、お母さんの名前。


 この人は、まだお母さんに縛られてる。

 それを私に重ねてる。


「先に、部屋に行ってなさい」

「…………はい」


 部屋も私の部屋じゃない。


 お母さんの部屋に似せて作られたもの。


 ここでは、私はあの人に逆らうことはできない。