犯人は田中殺人事件【短編】

それまで風は強く吹いていても雨はパラつく程度だったのだが、我々が館に到着した途端に台風のど真ん中かと思う程のどしゃ降りになった。

ちなみに台風のど真ん中は台風の目だから逆に穏やかじゃね?というツッコミは不可である。

ともあれ館に到着した我々は、入口ホール横のラウンジにてしばらく休み、その後それぞれ割り当てられた部屋へと荷物を置きに別れた。

ラウンジからそれぞれの部屋へと別れる前に簡単なミーティングのような時間があり、今はまだ気分が悪い方がほとんどで食欲のある人はいないかも知れないが、山さんに言えば簡単な食事は用意してもらえる事と、夕食までは各自自由時間である旨が説明された。

他の人はおおむね部屋で休んでいたらしいが、私は部屋に荷物を置くとすぐに食堂へと赴き山さんにお願いして食事を出してもらった。

クラブハウスサンドと紅茶しか今は出せないと言われたので、隣の家に行くのに地球を反対側に一周するような遠まわしの文句を言ったら紅茶がビールに替わったので気分が良くなった。

この私をタダ飯やタダ酒を遠慮するようなアマチャンと思ったら大間違いである。

だがこの後、問題の時を迎える。