……ドキドキ、なんて。

速水くんに対してそんなふうになるなんて、絶対にありえないって思っていたのに。



「……まだ、大丈夫、だよね」


まだ、大丈夫。

まだ、戻れる。


ドキドキしたなんて、きっと気のせい。

いつもと違う速水くんに、ちょっとびっくりしちゃっただけ。



「……うん。大丈夫」


────あんなに苦手だったんだもん、簡単に好きになんてならないよ。

ましてや、叶う望みのない恋なんて、そんなのつらいだけ。


自分を納得させるように呟いて、私は辿り着いた教室のドアを開けた。